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こどもの日

【10分でわかる】五月人形とは?役割・歴史・種類など基礎知識の総まとめ!

「五月人形を買う上でそもそもどういうものなのかちゃんと知っておきたい」
「色々種類があるけれど、どういう違いがあるんだろうか?」
「五月人形って買う必要があるのかな?」

五月人形の購入をする機会は人生においてそれほど多くありません。いざ探す段階で色々と迷ってしまうことは多いと思います。

そこで、本記事では創業約100年『人形工房 左京』の4代目跡継ぎが専門家として五月人形を初めて検討する方、改めて五月人形について知識を深めたい方向けに五月人形の役割(特に現代における新しい役割)や歴史、種類などの基礎知識を一気に解説します。

重要な項目はさらに深堀りした関連記事も紹介しているので併せてご活用ください!

動画でも解説していますので文章を読むのが面倒な方はこちらをご覧ください。
※1.5~2倍速での閲覧がオススメです!

五月人形とは

五月人形とは何?その役割は?伝統的な役割、現代社会ならではの役割を解説します。

お守りとしての五月人形

五月人形の本来の役割は「お守り」。人形をお守りとして考えるのは古来より続く、「人形(ひとがた)信仰」が起源です。すなわち、人形が人の厄を身代わりになって引き受けてくれるという考え方。子供が受けることになる厄を人形に代わりに移すことにより、厄や病を祓い、子供に健やかに育ってほしいという願いを込めます。

五月人形に鎧や兜など「人の形をしていない人形」も多いのは、武家の慣習と「お守り」としての五月人形の文化が融合して今の形になりました。

雛人形が紙や藁を人の形になぞらえた簡単なものに始まり、現代の色鮮やかに着飾った豪華な人形に変化するまで一貫して人の形であり続けたのと少しだけ違った歴史をたどっているのも面白いですね。

こどもの日を彩る飾りとしての五月人形

五月人形の役割は「お守り」ですが、現代ではその役割を強く意識せず「こどもの日」という年に1回のイベントごとを楽しむためのお飾りと捉えられることもあります。

風習に対しての良し悪しの話ではなく、伝統文化や五月人形の捉え方・考え方はご家庭によって様々。人生にちょっとした彩りを持たせるための一要素として個々のスタンスで楽しんでいただくのもまた一興かと思います。

インテリアとしての五月人形

近年、五月人形は「こどもの日を彩るお飾り」の範囲を超えて単体でインテリアとして楽しまれるケースも増えています。

伝統に忠実な工芸品、伝統とモダンを見事に融合させた逸品、全く革新的な現代アートなど、そのラインナップは本当に様々。つい「年中飾っておきたい!」と思うことでしょう。繰り返しになりますが、五月人形との付き合い方について、万人に通用する正解はありません。飾って眺めるためのインテリアとしてお求めいただくのも五月人形の楽しみ方の一つです。

特に海外にお住まいの日本人の方は、年間通して家に五月人形を飾って現地の来客をおもてなしする、というお話をよく聞きます。

アートとしての五月人形

「飾って眺めて楽しむ」という意味ではインテリアとも近いですが、より格式高い芸術品・工芸品として五月人形をお求めのご家庭も。一般的なご提案の域を超えた価格のものにはなりがちですが、芸術作品としての側面も持っているのが五月人形の醍醐味です。

専門家の本音!

イベントの飾りくらいの感覚であっても「五月人形を買おうかな?」と思われているのであれば、できれば一度、五月人形の歴史や伝統を知っていただきたいです。その上でさらに、数ある五月人形の商品を眺めていただく、といった機会を作ってもらえればなお良いです。

もしかすると五月人形の世界の奥深さに魅了されるかもしれないし、「正直あまり・・・」と思われるかもしれません。それこそ「どちらが正解」ということはなく、「知ったうえで決めていただく」ことが何より大事です!

五月人形の起源・歴史

端午の端は「はじめ」という意味で、「端午(たんご)」は5月最初の午(うま)の日のことでした。午(ご)という文字の音が五に転じ、奈良時代以後、5月5日が端午の節句として定着していきました。

5月5日には季節の植物である菖蒲が、邪気払いの効果があるとされ端午の節句に用いられました。この「菖蒲」が「尚武(武道を重んずること)」と同じ音であることから、端午の節句が武を重んじる武家の間で盛んに祝われる日となりました。それがそのうち武家の家系を継いでいく家の後継ぎである男の子の誕生を祝い、成長を願う、一族のお祝いの日と転じていったのです。

こうして3月3日のひなまつりとが女の子のための節句の日であることに呼応するように、5月5日は男の子のための節句の日として定着していき、現代のこどもの日に通ずる行事が形成されたと言えます。

鎧を飾るのは武家の風習です。武将にとって鎧は自身を護る道具であり、武家にとっては家のシンボルとしての大切な家宝でした。そうした風習から、戦で身を守る武具は子供をあらゆる厄から護ってくれるお守りとしての願いを込める象徴となりました。

戦のない江戸時代ではやがて、武家ではない庶民の間でもこの武家の慣習を真似て、武を重んじる日として金太郎や桃太郎などを人形にして飾るようになりました。古くから庶民の間には武士への憧れ・尊敬があったのでしょう。

鯉のぼりについても同様、元々は武士が戦場で敵と味方を識別するための目印として揚げる「旗指物(はたさしもの)」が起源であると考えられています。武を重んじる日に、登竜門伝説(後ほど詳細は説明します)と戦での旗指物が組み合わさって鯉のぼりという江戸町人の画期的なアイデアが生まれたのです。

こうして武家と町人によるバリエーション豊かな端午の節句の文化が醸成され、現代のカタチにつながっているのです。元々はどれも、憧れ、将来への願い、そして遊び心から生まれた風習です。

現代を生きる私達も、遊び心とポジティブな気持ちで長い歴史によって紡がれてきた文化的な一日を楽しむことが大事と言えるでしょう。

五月人形の種類

五月人形は可愛らしい人形から荘厳な兜・鎧、鯉のぼりも含め、本当に多種多様。五月人形の種類について大まかなジャンルごとに解説します。

こちらの記事で詳しい解説を加えているのでより深く知りたい方は併せてご一読ください!

鎧飾り

武士が着用する鎧をモチーフとした人形。古くから武家に伝わる、鎧を家の中に飾り祖先への敬意を表す風習が起源と言われています。

「身体全体を護る=あらゆる厄から身を護る」お守りとしての役割を象徴しているとも考えられますね。

現代では歴史上の偉人の鎧を再現した「戦国武将鎧」や着用することのできる「着用鎧」などもあります。

兜飾り

鎧の中でも一番大事な、頭部を護る「兜」をモチーフとした人形。

鎧飾りの「省略形」ではありますが、装飾が豪華でバリエーションも豊富な兜単体の人形は独特の存在感があります。実際、日本の武将たちは兜の装飾によって戦の中で自分をアピールしていました。戦において兜は武将の顔でもありました。

鎧兜と同じく「戦国武将兜」「着用兜」などのラインナップも豊富です。

大将飾り(子供大将)

鎧兜を着用した子供をモチーフとした人形。鎧飾り・兜飾りと比べていわゆる「人形」に近い商品ですね。

力強さの中に柔らかさが融合しており、親しみやすい印象があります。鎧や兜のデザインに苦手意識がある方でも安心してお求めいただける可愛らしさが魅力です。

鯉のぼり

こどもの日には重要な「鯉のぼり」。屋外に飾ることから「外飾り」という呼ばれ方もします(屋内に飾る「室内鯉飾り」もあります)。

鯉は激しい滝を登り切り竜になるという逸話(※)を持つ立身・出世の象徴。加えて池や沼といった厳しい環境でも強く生きられることから「力強く生きてほしい」という願いも込められています。

「登竜門」という中国の逸話。日本の慣用句としても用いられますね。
ちなみに、ポケモンのコイキングがギャラドスに進化するのはこの登竜門に由来しています。

様々なジャンルの五月人形を専門家の目線・消費者の目線から厳選してピックアップしているので、ぜひ併せてご覧ください!

【2022年最新】人気の五月人形15選!専門家が本気で厳選!

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五月人形を飾る時期・しまう時期

五月人形はいつまで飾らなければいけない、いつまでに片付けなければいけないといった決まりごとはありません。

大まかな目安は「季節の変わり目」くらいで考える

一般的な目安としては下記です。

  • 飾る時期:春分の日~4月半ば
  • しまう時期:こどもの日以降、梅雨入り前まで

期限としてこだわり過ぎるのではなく、季節の変わり目を意識しつつ「こどもの日当日に向けて十分眺めて楽しめるだけの期間飾る」「ほったらかしになって忘れないうちにしまう」くらいの意識で良いです。

しまう日は縁起よりも天候で選ぶ

「『大安』や『戦勝』などの『六曜』は考慮しなくていいですか?」

とご質問いただくことがありますが、無理に意識する必要はありません。

しまう日に関しては人形を良い状態で保管するために「晴れた湿気の少ない日」を選んでいただくことの方が重要です。湿気を人形と一緒に梱包したまま保管してしまうと、錆やカビなどの原因となってしまいます。

飾る時期、しまう時期についてはこちらの記事でさらに踏み込んで解説しています。

五月人形のよくある質問

五月人形に関してよくお問い合わせいただく質問を取り上げてみました。
内容を詳しくまとめた関連記事もぜひご参照ください!

五月人形はどれくらいの予算で考えれば良いですか?

A:無理のない範囲で納得いく商品を探していただくことが重要です。

五月人形は数千円の小物商品から、百万円を超える芸術品まで様々。そして、どの商品がおすすめかはそれぞれのお客様のご希望によっても大きく異なります。

「どれくらい」と考えるよりも本当に欲しいと思う人形を探していただくこと、そのために商品選びの軸を明確にしていただくことが重要です。

参考までに、一般的な商品ラインナップの価格相場をまとめています。

関連記事:五月人形の相場を専門家が徹底分析!種類・飾り方による価格差も解説

五月人形を「お下がり」にするのはありですか?

A:伝統の観点から考えると「なし」です。五月人形は1体につき1人、お守りとしての役割を持つため、人形を引き継ぐというのは、厄災をも引き継いでしまうため、本来の意味から考えるとお下がりはNG。

とはいえ、伝統と風習に対する各々の意識の問題で、あまねく誰しもがこのルールに厳格にとらわれる必要はありません。

五月人形の捉え方・五月人形との付き合い方によって結論は変わるため、ご自身にとっての「五月人形とは何か?」を考えてみてください。

関連記事:五月人形のお下がりNG論争に専門家が真正面から回答!

 

五月人形はネットで買っても大丈夫ですか?実店舗で見た方が良いですか?

A:ネットで買っても大丈夫です。ネットではご自宅にいながら様々なラインナップの五月人形を見比べることができるので、まずは色々眺めて好みを絞ったり、五月人形の商品の多様さを楽しんでもらえればと思います。最近はネットの販売業者も増えて購入に十分な事前情報を得られるようになりました。ご自身が納得できればネットでの購入はおすすめです。

とはいえ、実際に実店舗で商品を間近に見る、専門家の話を聞くというのもとても貴重かつ楽しい経験になるはず。お子様に恵まれてこそ楽しむことができる五月人形選びです。ぜひ、店舗にも足を運んでみて商品選びも想い出にしてほしいです。

関連記事:五月人形を買える店舗は?実店舗・インターネット店舗の特徴を解説!

その他、具体的なご相談でもちょっと専門家に聞いてみたい疑問でも、左京公式LINEからお気軽にご質問ください!LINEトーク画面でチャット形式でご質問いただけます。

まとめ

五月人形はとても奥深く、追究していくとキリのない世界。とはいえ五月人形を探すにあたってそこまで難しく考える必要もありません。

伝統文化の世界にどっぷり浸るのも、伝統に上手く折り合いをつけて自然に日常の中に取り込むのも、伝統はあまり気にせず好きな人形を飾って楽しむのも、五月人形との関わり方は自由です!

ぜひご自身のスタンスの中で(できれば一度五月人形の伝統や歴史についても触れてみていただいた上で)五月人形を楽しんでいただければと思います。

商品選びに迷われることや専門家に聞いてみたいことがあったらお気軽にご連絡ください!

株式会社左京 / 四代目
Writer - 望月 琢矢
静岡の雛人形工房(株式会社左京)の4代目。1991年生まれ。静岡県静岡市出身。東京の大学在学中に留学・海外一人旅などを通じて外国から見た自分・日本を考えるようになる。大学卒業後2年間、東京の上場企業にて会社員を経て2016年から家業である株式会社左京に入社し雛人形制作に携わる。海外経験のある若者代表として、これからの雛文化・伝統文化について考え、試行錯誤の日々。日本の伝統文化が世界から評価されれば日本人は覚醒する!と信じ、静岡発の世界ブランドを作ることを目指しています。 ★Instagram フォロワー18,000人超
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