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こどもの日

五月人形はいつ飾り始めていつしまうのがいいの?最適な時期や注意点を専門家が解説

五月人形を出すのは毎年のこどもの日に向けた一大イベントですね。しかし、五月人形はいつから飾ればよいのか、疑問を持たれるかもしれません。

「早く出し過ぎると良くない?」
「いつまでに飾っていないとダメという期限はある?」
「縁起のいい日、悪い日などは?」

そこで、今回は五月人形を出すタイミング、しまうタイミングに関する様々なポイントを、創業約100年の老舗『人形工房 左京』の4代目跡継ぎが解説します。

結論としては、出す日もしまう日もそれほど厳格に意識する必要はないのですが、その中でも気をつけるべきポイントや大切にしてほしい視点などもお伝えしていくので、ぜひご一読ください!

動画でも解説していますので文章を読むのが面倒な方はこちらをご覧ください。
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5月5日に向けて十分お飾りを楽しめる期間があればそれでOK

結論としては五月人形をいつ飾り始めるかについて、絶対の正解はありません

「この時期よりも早く飾っていると早すぎる」
「この時期に飾っていなければ遅すぎる」

といった明確な基準が定められているわけではありません。

五月人形が主役になるのは5月5日のこどもの日ですが、早めに飾ってあると当日へのワクワク感も高まってきます。

イベント当日に向けて飾って楽しめるだけの期間があれば十分です。

飾り始めの目安は、春分の日~4月の半ばの間

飾り始めの目安の時期は早くて春分の日以降にするのが区切りとしては良いでしょう

というのも、伝統にならうと春分の日前後は春のお彼岸としてご先祖様を供養する時期。祭りごとであるこどもの日の準備は控えた方が良い、という考え方と、季節の区切りからいってもこの時期以降に五月人形を飾るのが好ましいと言えます。

いつまでに飾らなければいけない、という基準は特にありませんが一般的には四月の中旬までに飾り終えるのが望ましいです。

5月5日に向けて飾って眺めて楽しむのに十分な期間を取るという意味でもこの時期までには飾ると良いでしょう。

必ずしも縁起のいい日・悪い日を気にする必要はない

旧暦の「六曜」の中から縁起がいいとされる「大安」や「友引」の日を選んで飾る、逆に「仏滅」「赤口」を避ける、などといったことを気にする方もいらっしゃいます。考え方次第ですが、必ずしもこういった慣習に縛られる必要はありません。

五月人形を飾るのは年に一度の特別な時間。普段の忙しい生活の中で飾りつけの時間を確保するのにそこまで気にしなければならないのは大変ですよね?

六曜の縁起の良し悪しよりも、無理なく生活に取り入れられるよう飾る日のスケジュールを決めることの方が大切です。

ちなみに、元来こどもの日はひな祭りと同様、1年の無病息災を祈って身体を清めるという意味合いもあるため、むしろ日の悪い日に飾り付けなどの行事を行うことで一層、厄払いの効果を高めることができる、という考え方もあります。

捉え方次第ですので、伝統に縛られるのではなく楽しむことを重視しましょう。

前日に飾る「一夜飾り」はNGなのか!?

季節のイベントの飾りつけを前日にあわてて飾ることを「一夜飾り」と言います。五月人形の場合はこどもの日の前日、5月4日ですね。

この一夜飾りですが、一般的には奨励されていません。

  • 前日に飾るのは人形に対して誠意がない
  • 一夜飾りは葬式を連想させて縁起が悪い

根拠として挙げられているのはこういった理由です。

ただ、いち専門家の意見としては、言い伝えを気にして一夜飾りを強く「NG」と考える必要はないと思います。あまり「あれもダメ、これもダメ」と制限があると、せっかくのイベントが窮屈になり楽しくなくなってしまいます。

一夜飾りを気にされるのであれば、旧暦の端午の節句、6月上旬頃まで飾りを楽しんでみたり、天気の良い日を待ちつつもう数日飾りを楽しんで見るなど、節句文化をより柔軟にとらえてほしいなと思います。

一方、「飾らなければ!」という義務感で慌てて飾るのもこどもの日を楽しめる姿勢とは言えません。そういう意味では眺めて楽しむ時間をとるために少し余裕をもって飾る「方がいい」くらいに思っておくのがちょうど良いかもしれませんね。

ちなみに、どうしてもその気になれない・忙し過ぎるなどの理由で飾れない年がある場合、人形を良い状態で保つために「空気通し」だけして飾るのはお休みしてもよいでしょう。

五月人形は「いつまでに」よりもどんな日にしまうかが大切

五月人形を「いつから飾ればいいのか」とセットになる疑問が「いつしまえばいいのか」

雛人形には「しまい遅れると嫁入りが遅れる」などというジンクスもありますが、五月人形には特にそういったものもありません。

※雛人形のジンクスは迷信ではありつつもちょっとした根拠もあります。詳しくはこちらの記事で解説しています。

とはいえ、季節の飾り物をいつまでも放置していていは良くない、という考え方は同じ。スケジュールや天候と相談しながら無理なくしまうのが良いです。

片付ける日は晴れた湿気の少ない日を選ぶ

片付けを行うのに最も大事なのは「晴れた湿気の少ない日」に行うこと。湿気が多い日に人形をしまうと、箱や櫃の中にも湿気が残ってしまい、カビなど人形が痛む原因になってしまいます。

五月人形は一度しまうと来シーズンまでしまいっぱなしのご家庭がほとんど。良い状態で次のシーズンを迎えるためにも、しまう時の気候には気を配りましょう。

人形を綺麗に保つためにも梅雨入り前には片付けるのがおすすめ

五月人形を「絶対にしまわなければならない期日」はありませんが、梅雨入りしてしまうとジメジメした気候が続くため、湿気の少ない晴れた日を狙うのが難しくなってしまいます。

五月人形の季節感を出すためにも、「先延ばしにした結果、気付いたら一年中飾っていた・・・」といったことにならないためにも「梅雨入り前にはしまう!」というのを目安に考えると良いでしょう。

「一年中飾りっぱなし」は捉え方と気持ち次第!

最近は「五月人形をインテリアとして楽しみたい」という観点から一年中飾りっぱなしはダメなのか?といった質問を受けることがあります。

回答としてはご家庭の方針にあわせて五月人形を大切にしていただくのが一番です。海外のお客様はインテリアとして年中飾っている方も少なくありません。一方で「一年中出しっぱなし」はNGと言われる根拠もあるので、3つ解説していきます。

一年間の厄を取るための、特別なイベントだから

インテリアやお祭りを華やげる飾りとしての意味合いが強い五月人形ですが、元々の役割は子供の厄を引き受けるためのお守り

こどもの日は単なる楽しいお祭りだけでなく、一年間の厄を取るための伝統行事でもあります。

一年に一回の厄取りのための人形が年中飾られていると、そのありがたみも半減してしまいます。五月人形の元々の役割から考えても、本来は年中飾られるべきものではありません。

季節を楽しむ、という日本人ならではの文化に由来しているから

日本には豊かな四季があり、日本人にはその季節の移り変わりや季節ごとの行事を楽しむ文化が根付いています。

五月の季節行事として重要なのがこどもの日。そしてそのイベントを象徴するものが五月人形です。

五月人形が一年中出しっぱなしだと季節感がなくなってしまい、年に一度のこどもの日の特別感が薄れてしまいます。五月にだけ飾られる季節の飾り物であるということ自体に、五月人形が五月人形であるゆえんがあるのです。

人によっては「だらしない」印象を与えてしまうことも!?

人にとっては五月人形を出しっぱなしにしておくことを「だらしない」と捉える場合もあります。

現代は伝統を忠実に守るよりも、その精神性をくみ取りながら折り合いをつけてライフスタイルに上手く組み込んでいくことが重要です。

しかし、古くからの伝統を忠実に守りたいと考えるのも一つの立派な意見。そういったスタンスからすると五月人形をしまわずに一年中飾っているというのは「だらしない」という印象を受けてしまうかもしれません

ちなみに、他の人からの印象だけに限らず、一年中出しっぱなしにしておくことで人形が傷みやすくなってしまう点も注意が必要です。

飾る時・しまう時、人形に触れることも貴重な教育であり経験

五月人形を飾る時期、しまう時期も重要ですが、もう一つ人形を飾る・しまうにあたって大事なポイントがあります。

それは、五月人形を飾る時・しまう時というのは伝統工芸品に直に触れることのできる貴重な機会であるということ。子供にとって五月人形というのは自宅にある最も身近な伝統工芸品の一つです。

一年の大半は収納されており、シーズン中にだけ飾って楽しむ五月人形ですが、出し入れの時に直接手に触れることを楽しむのも大事。人形のカタチ・素材の質感などから伝わってくる職人の手間と技術、それらに受け継がれている伝統の精神性などを感じ取ることができる貴重な機会となります。

感性豊かな幼少期にどのようなものに触れて育つかはその後の価値観の形成にも大きな影響を与えます。ぜひ、五月人形を出す時・しまう時には直接手に触れることの楽しみをお子様とも共有してみてください。毎年一緒に飾り・しまうその時間は、大切な家族の想い出となり、絆となることでしょう。

まとめ

五月人形を飾る時もしまう時も、絶対の正解や必ず守らなければいけない期限があるわけではありません。

  • 「五月人形を飾ってこどもの日まで楽しむ」
  • 「次のシーズンも綺麗に飾れるように、梅雨入り前にはしまった方が良い」

こんなことを念頭に、あまり厳格なルールにはとらわれず五月人形を楽しんでいただくことが一番大切です。

人形の出し入れのタイミングは伝統工芸品に直に触れることができる貴重な機会でもあるので、ぜひイベントのための作業ではなく、飾ること・しまうことも一つのイベントとして捉えてみるとまた違った楽しみ方ができますよ!

五月人形を飾るタイミング・しまうタイミングに関することでも、その他のことでも専門家に聞いてみたいことがありましたらお気軽に公式LINEからご連絡ください!

 

株式会社左京 / 四代目
Writer - 望月 琢矢
静岡の雛人形工房(株式会社左京)の4代目。1991年生まれ。静岡県静岡市出身。東京の大学在学中に留学・海外一人旅などを通じて外国から見た自分・日本を考えるようになる。大学卒業後2年間、東京の上場企業にて会社員を経て2016年から家業である株式会社左京に入社し雛人形制作に携わる。海外経験のある若者代表として、これからの雛文化・伝統文化について考え、試行錯誤の日々。日本の伝統文化が世界から評価されれば日本人は覚醒する!と信じ、静岡発の世界ブランドを作ることを目指しています。 ★Instagram フォロワー18,000人超
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