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ひな祭り

二人目の雛人形は購入必須?現役雛人形職人がライフスタイル別にご提案!

「二人目の雛人形、どうすればいいんだろう?」

新たに買った方が良いのかもしれない、と思いつつも飾るスペースが限られていたり、一人目の人形に奮発して同じ予算をかけるのが難しかったり・・・

「二人目の雛人形どうする?」問題を専門店にご相談いただくご家族は実は少なくありません。

そこで今回は創業約100年の老舗『人形工房 左京』の4代目跡継ぎが、二人目の雛人形をどうするかについて、伝統を厳格に守る視点と、上手く折り合いをつける視点からいくつかの選択肢をご提案します。

「こうしなければならない!」という絶対の答えがあるわけではないので、どのような考え方がよりご自身にとって納得できるかという視点で結論を出す参考にしてもらえると嬉しいです。

【関連記事】親子間での雛人形の「お下がり」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

動画でも解説していますので文章を読むのが面倒な方はこちらをご覧ください。
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二人目の雛人形を買うべきかは伝統の捉え方次第

二人目の女の子に雛人形を新しく買うべきかについては伝統の考え方をしっかりと守るのか、それとも上手く折り合いをつけていくのかといったスタンスによって分かれます。

「どちらが正解」はないので、それぞれの考え方を比べて納得のいくように参考にしてください。

伝統を重視するなら、「1人1飾り」が大原則

伝統の文化を忠実に守るのであれば、雛人形は1人1飾り用意することが大原則です。

雛人形の本来の意味は、子供の厄を代わりに引き受けてくれるお守り。日本古来から続く人形(ひとがた)の信仰に基づくと、1飾りの人形が身代わりの役割を果たせるのは1人に対してです。

あくまで、当初長女のためにと用意した雛人形のセットは、長女の厄除けの役割を担っていて、あとから二人目の厄除けも担えるわけではないと考えます。

そう考えると、女の子が生まれるごとにその子のお守りとなる雛人形を1飾り用意する、というのが伝統的な考え方です。

ライフスタイルと折り合いをつける考え方も

一方で現代のライフスタイル事情を考えると「1人1飾り」を厳格に守るのも難しいケースもあります。

雛人形は決して安い買い物ではないし、飾るにも収納するにも一定のスペースが必要です。

予算面や収納面の課題がある中で「1人1飾り」を意識しすぎて頭を抱える必要はありません伝統は大切にしたいと思いつつも、それが人を縛り、悩ませるようなことは避けるべきだ思います。

最近はひな祭りを、可愛く飾りつけをしてご馳走やお菓子を食べる楽しいイベントごとと考え、雛人形はひな祭りを盛り上げる飾りくらいに捉えられていることも。

専門家としてはせっかく雛人形を購入し、毎年飾るのであればその歴史や文化についても触れてみてほしいと思いますが、捉え方・楽しみ方はご家庭それぞれです。

伝統を厳格に守ることに強いこだわりがなければ、あえて1人1飾りの人形を用意する必要はありません。

二人目の雛人形を購入する場合の考え方

二人目の雛人形を用意するとして、大きさ・予算・人形のタイプなど、どのように考えればよいのか迷われることもあると思います。

「大きさで差をつけると不公平感がでる。けれど同じサイズの人形を飾るスペースはない・・・」

そんなご相談をよく受けます。

どのような考え方や選択肢があるかを説明します。

同じサイズのセットをもう一つ用意する

予算や飾るスペースに問題がなければ、同じくらいのサイズ・予算感の雛人形セットをもう一つ購入するのが最も簡単な考え方。

見た目にわかりやすい「大きさ」や「金額」を揃えることで不公平感を無くします

「自分が次女で姉と差をつけられるのが嫌だった」

という経験から、大きさ・予算を長女・次女で同じにしてあげたいというお考えの方もいらっしゃいます。

小さなサイズのセットをもう一つ用意する

同じ大きさを用意するのが難しい場合、小さいサイズの人形を1飾り別に用意することも考えられます。小さくても「私だけの雛人形」を用意することで、愛情は伝わりやすくなります。

一方で「ただ大きさだけ」が違うと、どうしても不公平感がぬぐえないケースも。こういった場合に専門家として提案することが多いのは以下のような違いを出すことです。

  • 座り雛と立ち雛
  • 衣装着人形と木目込み人形
  • 伝統的なデザインと、モダンでおしゃれなデザイン

意識的に分かりやすく違いを出すことで、単純なサイズの大小による不公平感をなくすことができます。

雰囲気の違う雛人形のセットが増えると、飾った時により賑やかになり楽しいひな祭りとなります。

一人目の人形セットの中に飾り入れる男雛・女雛を用意する

一人目の雛人形が三段・五段・七段といった段飾りの場合は、二人目の人形も段飾りを用意するのはスペース的に難しいことも多いでしょう。

そこで、少し変則的ですが一人目の人形セットの中に追加して飾ることのできる男雛(お殿様)・女雛(お姫様)の人形を二人目の人形として用意する、というパターンも考えられます。

雛人形の段飾りにはある程度「こう並べるパターンが多い」といった慣例はありますが、並べ方や飾りつけは地域によっても異なり、正解があるわけではありません。

一つの飾りつけの中に男雛・女雛が2セット存在するのは特殊なスタイルですが、現代のライフスタイルとの融合という意味では一つの形と言えます。

「既存の飾りに入れ込めるお人形だけの購入」については、主に専門店であれば柔軟に対応できることが多いので、ぜひ相談してみてください!

また後ほど紹介しますが、同じ考え方で一人目の飾りが男雛・女雛の二人飾りである場合、二人目用に三人官女を追加するというのもアリでしょう。

二人目の雛人形を購入しない場合の考え方

二人目の雛人形を購入しない場合、一人目の人形セットが「姉妹共有のセット」という考え方が基本です。

この時ちょっとした工夫を加えるだけでセットが華やかになると同時に、二人目のお子様への想いを表すことができる方法があるので紹介していきます。

人形や飾りを買い足して豪華なセットにする

三人官女、五人囃子などの人形やお道具を追加購入することで既存のセットをより華やかにできます。

「姉妹共有の雛人形セット」

と考えるにあたっても、セットが豪華になっていくことで家族が増える喜びをわかりやすく表現できますね。

吊るし雛や名前旗・名前札を用意して華やかに飾り付ける

人形やお道具を買い足すほどのスペースがない場合、吊るし雛や二人目のお子様の名前を書いた「名前旗」「名前札」はほとんどスペースをとることなくセットに追加することが可能です。

こういったちょっとした追加であっても、セット全体は十分に華やぎ、お子様を想う気持ちも表すことができます。

大切なのは二人目への気持ちを込めること

二人目への雛人形を用意するのかしないのか。それぞれにどのような形にすればよいのか。

考え方や選択肢をそれぞれ挙げて説明してきましたが「結局自分はどうすれば良いのか!」をすぐに決めるのは難しいかもしれません。

一番大事にしてほしいポイントは「二人目を想う気持ち」です。

伝統をキッチリ守る視点からすれば「1人1飾り」を用意すべきですが、それが二人目の厄取りができないといったネガティブなルールに縛られるようになってしまうと本末転倒。伝統文化の精神性を語り継ぐことも大切ですが、伝統文化を楽しくとらえて人生の彩りにしてもらうことのほうがより大切です。

人形を新たに買うにせよ、今ある雛人形を姉妹共有と考えるにせよ、そこに雛人形の本質である「子供の健やかな成長への願い」があればそれで十分です。

現代のライフスタイルを考えながらご家族で楽しく雛人形・ひな祭りと付き合っていってもらえることを願っています。

まとめ

二人目の女の子に雛人形を用意すべきか、結局のところ「こうしなければならない!」という正解があるわけではなく、ご自身の「気持ち」として納得の行く選択をしてもらえればそれで十分です。

雛人形・ひな祭りといった伝統文化について、できれば起源や歴史についても一度知っていただいた上で、受け継がれている本質を現代のライフスタイルの中にどう取り入れていくのか決めてみてください。

ぜひ、伝統文化を人生の彩りとしてご家族で楽しめるようなものにしてもらえる答えを探してみてください。

二人目の雛人形についてどうするか専門家に相談したい場合や、その他聞いてみたいことがありましたら公式LINEからお気軽にお問い合わせください!

株式会社左京 / 四代目
Writer - 望月 琢矢
静岡の雛人形工房(株式会社左京)の4代目。1991年生まれ。静岡県静岡市出身。東京の大学在学中に留学・海外一人旅などを通じて外国から見た自分・日本を考えるようになる。大学卒業後2年間、東京の上場企業にて会社員を経て2016年から家業である株式会社左京に入社し雛人形制作に携わる。海外経験のある若者代表として、これからの雛文化・伝統文化について考え、試行錯誤の日々。日本の伝統文化が世界から評価されれば日本人は覚醒する!と信じ、静岡発の世界ブランドを作ることを目指しています。 ★Instagram フォロワー18,000人超
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