いざ雛人形を購入しようとインターネットやカタログを眺めても、価格帯は千差万別。
雛人形はそもそも安い商品ではありませんが、種類も含めて価格差がかなり大きいため、どのような商品を選べばよいのか迷ってしまいがちですよね?
そこで今回は創業約100年の老舗『人形工房 左京』の4代目跡継ぎが、主要商品ごとの大まかな価格帯についてもお伝えした上で、雛人形の価格を分ける大きな要素について解説していきます!
ご予算などに合わせた雛人形選びの参考になると思いますので、ぜひご一読ください!
動画でも解説していますので文章を読むのが面倒な方はこちらをご覧ください。
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【タイプ別】雛人形の値段の相場をご紹介
雛人形の中でも人気がある商品ラインナップについて、特長や相場について解説していきます。後に詳しく解説しますが、雛人形は多種多様なので相場はあくまで目安です。その点もふまえてご参考にしてみてください!【3万円~6万円台】ケース飾りの相場
ケース飾りは3万円台~6万円台程度が相場です。
ケース飾りは人形が専用のプラスチックやガラスなどの透明なケースに入ったタイプの雛人形です。
ケースに守られているため、他の人形と比べるとこまめなお手入れを必要としません。またケースごと出し入れできるため、飾り付けや片付けも楽です。
商品全体としてコンパクトなものが多く、その分価格も比較的お求めやすいラインナップが揃っています。
ただし、ケース自体にも原価がかかるため人形にかけられるコストが限られていて、人形が安っぽく見えてしまいがちな点は否めません。
特に、ケースごと出し入れできるタイプのお雛様はケースに人形や雛道具が接着されています。そもそも接着されることを前提に人形や雛道具が作られているので細かな作りはどうしても簡易的な商品となっています。
また、ケースを1枚隔てているため雛人形を触ったり、色々な角度から眺めて楽しむ、といった触れる楽しみ・出ししまいの楽しみを味わえず、雛人形に親しみがわかないというお声もよく聞きます。
加えて、ケースごと収納する必要があるため、人形のサイズの割にかなり収納スペースを取ってしまうことも注意点として挙げられます。
【12~18万円前後が相場】毛せん・平台飾り(ふたり飾り)の相場
毛せん・平台飾り(ふたり飾り)は12~18万円前後が相場です。
毛せん飾り・平台飾りは主にお殿様・お姫様のふたりの人形を飾るスタイルです(「親王飾り」とも呼ばれます)。
毛せんというのは雛人形の下に敷く絨毯のようなもの、平台はその名の通り高さの低い台で、その上にお殿様・お姫様の人形を飾ります。
シンプルで比較的お求めやすい価格帯ながらも、シンプルだからこそのアレンジの幅も広く、職人・工房のこだわりやセミオーダーの場合はお客様からのご要望も反映しやすい商品です。
人形や飾り段、道具などが多い商品と比べると飾るスペースも収納スペースも取らないため、現代のご家庭の事情にもマッチしているとのお声も多いです(特に毛せんは巻いたり前に垂らしたりすることでお飾りのスペースがある程度自由自在になるのでとても融通が利きます)。
【15~20万円が相場】収納飾り(ふたり飾り)の相場
収納飾り(ふたり飾り)の相場は15~20万円と、毛せん・平台飾りに比べて30~40%程度割高になります。
収納飾りとは人形を飾る台の中が収納スペースになっていて、飾り台と収納箱が兼用になっているお飾り。別途収納の箱が必要ないという意味では便利な商品です。
また、収納台は高さがあるため、床に直接置いて飾ることもできるため、専用に机や家具を用意しなくても良いのが利点です。
ただし、この収納箱を兼ねた飾り段はほとんどが木製。「飾り台」という単品だけで考えたときに、毛せんや平台に比べて平均して3倍~10倍程度のお値段となります。近い価格帯の毛せん飾り・平台飾りと比較したときに人形にコストを割くことができないため、人形の質に差が出やすいです。
現代のご家庭の多くでは限られたスペースの中でひな祭りを存分に楽しみつつ、お飾りはなるべくシンプルかつ細部までこだわりが詰まった商品が人気です。
【18~30万円前後が相場】三段飾りの相場
三段飾りの相場は一般的なスタイルでは18~30万円前後です。
三段飾りはお殿様・お姫様が座る最上段に加えて下にもう二段、三人官女と雛道具を飾るスペースがあるタイプの雛人形です。
二段目にはお殿様・お姫様のお世話役を務める「三人官女」たちが、三段目にお駕籠・重箱・御所車などが置かれるスタイルがメジャーです。
しかし、中には三段目に五人囃子が登場したり、一段目のお殿様・お姫様の横に三人官女を置いたり、お人形の種類・お道具の種類と置く場所については正式な決まりなどはないので、様々な種類のものが存在します。
【30万円~100万円が相場】七段飾りの相場
七段飾りは30万円~100万円が相場です。
(外部サイト:雛人形の七段飾りの商品例)
七段飾りはひと昔前に爆発的に流行った飾り方です。
人形はお殿様・お姫様に三人官女・五人囃子・随身・仕丁が勢ぞろいの15人、そして嫁入り道具など「皇室の結婚式」をモチーフに、関連するたくさんの道具や飾りが用意されます。左京では現在は七段飾りは販売しておりませんが、やはり勢ぞろいの飾りつけは華やかです!
もちろん大きさや作りによって値段は違いますが、豪勢なたたずまいの割に手が届かないほどの価格ではないため、令和の時代にこそと、七段飾りをお求めのお客様も少なからずいらっしゃいます。
一方で、やはりご購入時にネックになるのは価格よりもお飾りと収納のスペース。人形や道具の数も多く、飾るときはおよそ6畳一間のスペースが必要。飾り段も大きくなるためシーズン外の収納スペースの確保に悩まれる声も聞きます。
相場と離れた価格の雛人形がある理由
現役の職人目線でタイプ別の商品の相場をお伝えしましたが、もちろん記載の価格帯に当てはまらない商品も多く存在します。
その理由について大切なことを2つ説明します。特に「高ければ高いほど良いとは限らない」ことは重要なのでぜひ押さえておいてください!
素材や作りの違い
雛人形はどんな素材を使うか・どのように作るか・そして誰が作るかによって一見似たような商品でも価格はかなり変わってきます。
例えば、雛人形といえば職人の手作りが基本ですが、最近はいわゆる工業製品、要するにおもちゃのような人形が大量生産されています。伝統工芸品としての雛人形ではないけれど、文化品としての雛人形という意味では素材や値段に特段にこだわる必要はありません。何を求めるか次第でカジュアルな商品を選んでひな祭りを楽しむのも一つです。
一方で、上を見るとキリがないのも雛人形。わかりやすい例を挙げるなら、「金屏風」一つとっても、金色で塗装しているもの、金箔を貼ったもの、純金製のもので値段は大きく異なります。
伝統工芸は分業です。1つの商品でも、お顔・着物・雛具、といったように携わる職人が数十人にも及びます。そのため素材や各職人の技術料の違いによって様々に価格が変わってきます。
値引きを前提に不当に高い「定価」が設定されていることも
一方で、必ずしも高い商品が良い商品とは限らない現実もあります。
値引きすることを前提に不当な定価を提示するような業者もいます。時代とともに少なくなってきてはいるものの、未だに二重価格(表示価格と実売価格)で商売をしているお店があります。
あえて不当に高額な定価を提示した上でそれを値引きすることによって割安感を演出する販売手法は昔から多く行われてきました。
対策として、セールストークを鵜呑みにするのではなく、あらかじめ決めていたかのような値引きの提案が入った場合は最初から「値引きありき」の値段である可能性を考えた方がよさそうです。
また、オンライン販売では個別の特別値引きができないため、掲載されている商品は基本的に最終価格であると考えて良いでしょう。オンライン上で商品と相場をリサーチした上で、実店舗に足を運び価値を見極める、ということも大切です。
そして雛人形のような馴染みのない商品を買う際の一番のおすすめは、商品を選ぶ前に、お店や会社の姿勢・売り方・デザインや言葉の選び方・店員の雰囲気などを総合的に見て、「お店を選ぶ」という観点で雛人形を選ぶと失敗しません。
しっかりとしたお店の商品は料金・素材なども適正です。また、もし商品に問題があってもアフターケアやサポートを丁寧にしてもらえるか、という点が違ってきますね。
もちろん左京では自信を持った適正価格を提示し、不信感を抱かせるような値引きは一切行いません!商品が到着してからも万全なアフターサポート体制を整えております!
雛人形に大切なのは値段ではなく、「大人の」人形への愛着と納得感
雛人形の商品種別ごとの相場を解説しました。ある程度ご予算が決まっている場合は、ぜひ上記の価格帯を念頭に探してみてください。
それでも、
「予算もイメージがなくどれくらいの価格帯の人形を買えばいいのかわからない!」
という方のために。左京では雛人形選びに関して、こんな考え方をご提案していますので、ご紹介します。
雛人形は生まれてきたお子様へご両親さま・祖父母さまが健やかな成長を祈って贈るプレゼントです。
この「お守り」には元々の「厄払い」だけでなく様々な意味合いがあります。
- お子様にとって最も身近な大人が雛人形を毎年大事に飾っているのを見る経験
- 成長するにつれて一緒に飾りつけや片付けを手伝う中で伝統工芸品に触れる経験
- 大きくなって雛人形の由来を知る中でその人形に込められた大人の愛情を実感すること
これら全て、「お守り」に含まれる周りの家族からの贈り物です。
同時に、実際にお雛様を管理するのはご両親さまであることがほとんど。ご両親が雛人形を、そしてご祖父母さまを想う気持ちは、そのままお子様が雛人形とご祖父母さまを想う気持ちにリンクします。
つまり、雛人形は「子供のためのもの」でありながら、実際には人形を管理する大人が愛着を持てるものであるべきです。
大切なのは「大人が」納得感をもって商品を決め、それをお子様の前で言葉と行動で、伝統文化を伝えながら大切にしていければ、価格や人形の数が重要なわけではありません。 ましてや「高い方・豪勢な方がご利益がある!」といったようなものでもありません。
現実的にご予算や飾るスペースなどの関係で高価な人形を購入することが難しくても、それ自体を気にする必要は全くありません。
子供のことを考えながらも、大人が心からひな祭りを楽しむための雛人形選びをしてほしいと願っています。 左京の雛人形づくりのスタンスはこちらの記事でも詳しく解説しています!
まとめ
雛人形の商品ごとの相場や、相場とかけ離れた商品の値付けの理由、価格よりも大事にすべき雛人形選びのポイントなどをお伝えしました。
伝統工芸品である雛人形は、定価がわかりづらく、商品選びに悩まれることも多いと思います。
しかし、最終的に大事なのは価格よりも納得感。これらを踏まえ、ぜひ今回お伝えした情報を雛人形選びに活かしてみてください!
相場に関する疑問・質問、ご予算に対する最適な商品のご提案、その他専門家に聞いてみたいことがありましたらお気軽に公式LINEからご連絡ください!