有職故実

Yusokukojitsu

 有職故実(ゆうそくこじつ)とは、宮中や公家の官職や儀式、また、装束や調度などを研究することで、「有職」はその知識を、「故実」はその元となった事例などを指します。

 特に平安期、藤原氏が栄えていた時代を模範とし、宮中において、このような場合にはいかなる装束を、どのように著用して、いかに使うか、といったことを取り決めるのに参考とされました。

 例えば、「大納言の身分の者の夏の季節の袍(うえのきぬ)には、雲立涌の文様を用いる」などといったことです。有職故実は当時の貴族たちにとっては欠かすことのできない教養でした。また、有職故実の研究が脈々と受け継がれてきたおかげで、今でも平安時代の人々の暮らしのようすをこと細かに知ることができるのです。

 日本では古来、身分を色で表しました。聖徳太子が『階位十二階』を定め、各階位に用いるべき装束の色を割り振ったことは有名ですが、その後も色による身分の区別の風習は続きました。しばらくすると、色だけでなく文様も身分を表すものとして扱われるようになりました。先ほどの「大納言の身分の者の夏の季節の袍(うえのきぬ)には、雲立涌の文様を用いる」といった約束事もその一つです。

 有職文様とは、このような時代に成立し発展した数々の文様のことをいいます。有職文様には平安時代の日本人の美意識が豊かにたたえられています。有職文様を通じて、かつての日本人が「美しく貴い」と感じた感性の一端に触れることができるでしょう。

青海波

 青い海原に幾重にも重なる波を表現しています。西アジアを起源とするとも言われており、世界各地にみられる文様です。勢いのよい波が無限に広がることから吉祥文様とされます。

 雅楽にも同じく青海波という名の演目がありますが、『源氏物語』には光源氏が青海波の演目に合わせ舞を披露するシーンが描かれています。その姿はたいへん優雅で、客席の貴族たちが感動して涙を流すほどでした。もっとも、ある事情により光源氏自身の心中は穏やかではなかったのですが・・・。

亀甲紋(きっこうもん)

 亀の甲羅をかたどった六角形の連続文様です。日本では古来、亀はおめでたい動物としてとらえられてきました。多くの神社の神文になったり、戦国大名を始めとして家紋としても多く用いられていることからも、そのことがうかがえます。

襷文(たすきもん)

 複数の平行斜線を交差させたものです。単純な図形であるため、世界各地にみられます。これが発展して菱文となりました。

菱文(ひしもん)

 襷文の平行斜線を除き、内側の菱型を残したものです。通常は横向きですが、天皇や摂関家は特別に縦向きの「縦菱」を用いました。

花菱(はなひし)

 菱型を花によって形作ったものです

幸菱(さいわいひし)

 菱の先にさらに小さな菱を添えたものです。当初は菱と菱の先が合っていることから「先合い菱(さきあいびし)」と呼ばれていました。そのうち、「先合い」の響きが「幸い」と似ていることから、「幸菱(さいわいひし)」と呼ばれるようになり、縁起のよいものとされました。

 尾形光琳の「紅梅白梅図屏風」にみられるように、慶事の紅白を表すのによく紅梅と白梅が組み合わされました。

丸文

 羽根を広げた蝶が四方を囲んでいるもの、また蝶でなく花となっているもの、瓜を輪切りにしたものを文様としたものなどがあります。

窠(か)

 鳥の巣を図案化したという説と、瓜の輪切りを図案化したという説があります。

立涌文(たてわくもん)

 「立涌」の「涌」は「湧」と同じ意味で、「立涌」は地面から立ち上がる陽気を表すため、吉祥文様とされます。二本の線の中に様々な文様を入れることで多くのバリエーションが派生しました。

雲立涌(くもたてわく)

 立涌の中が雲になっています。

鱗(うろこ)

 三角形の連続文様です。形状が魚の鱗に似ているため、この名が付けられました。

唐草文(からくさもん)

 つる草が四方八方に伸びてからみあう文様です。ギリシアやメソポタミアを起源とし、シルクロードを通り、奈良時代にわが国に伝わり、その後日本風に変わっていきました。どこまでも伸びていくツタの様子は、まさに生命力の象徴。一族の繁栄や長寿を意味する、縁起がよい吉祥文様として愛されました

 天の象徴として、また、縁起の良い「瑞雲」として好まれました。「鳳凰」や「鶴」などと一緒に用いられることも多いです。

観世水(かんぜみず)

 文様自体は平安よりも以前から存在しておりましたが、「観世水(かんぜみず)」という名で呼ばれるようになったのは平安より後の南北朝時代です。その名は、能を芸術の域にまで高め、その興隆の基礎をつくったとされる観世流の始祖、観阿弥(かんあみ)に由来します。観阿弥は法名であり、芸名としては「観世太夫(かんぜだゆう)」を名乗っていました。

 観阿弥の屋敷の井戸を除くと、地下水の流れにより常に水が渦を巻いて揺れ動いていたそうです。これが文様化され、観世流の紋章として使われたことから、この渦を巻いた流水文様が「観世水」と呼ばれるようになりました。

 流れる水は腐らず、けがれを洗い流す力があるとして、吉祥文様とされます。

七宝(しっぽう)

 輪が連続してつながる文様です。四方に広がっているため、この「四方」が転じて「しっぽう」となり、「七宝」の字が当てられたといわれています。これも無限に広がることから縁起が良いとされています。

 
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